ぼくのセカイ征服
風紀委員会。アイツらの恐ろしさは、よく解っているつもりだ。
僕に言わせると、本当に恐ろしいのは、生徒会ではなく、風紀委員会…の委員長だ。
…僕は、知っているから。
風紀委員長の『楠 楓』(くすのき かえで)は、僕にとって…いや、スミレにとって、忘れたい存在であり、忘れがたい存在だから。
…忌むべき…存在だから。

基本的に、僕は人を怨んだりはしない。
でも、僕も人間だ。もちろん、人を怨む事はあるし、今現在も怨んでいるヤツはいる。
だが、その感情は永遠ではない。どんなに深い想いでも、いつかは終わりが来るだろう。いつかは風化するだろう。
その証拠に、僕は、今となっては楠さんを怨んでなどいない。
まぁ、それは、僕と彼女との間に接点がほとんどなかった事に起因するのかもしれないが。
しかし(※先程から逆接の連続になってしまい申し訳ない)、スミレは違う。同じ人間でも、彼女は人一倍、負の感情が強い人間だ。それだけでなく、楠さんとの繋がりも深いものだった。
…だから…きっと、スミレは今でも楠さんを怨んでいるだろう。呪っているだろう。
────スミレは…

「…おい!どうした、トオル?」
「え…?あ、いや…」
「今は俺と話してるんだから、考え事は後にしてくれよ…。」
「そう…だな。そうする。」
「おっ!もうこんな時間か。朝のSTが始まっちまう。」
「セガちゃん、ヘンなトコ真面目だよねぇ〜。」
「わ、悪いかよ…?」
「ううん。私、セガちゃんのそーゆートコ、好きだよ。」
「…ったく…お前には負けるよ…」
「ははっ…」
「…トオルくん?」
「いや、コトハが相変わらずでよかったよ。これで、ようやく日常を取り戻した気がする。」
「そんな大袈裟な…」

まぁ、たしかに、少し大袈裟かな。コトハがいない間も、特に気にしていなかったし。
僕って薄情なのかなぁ?普通は言い知れぬ喪失感を感じるものだと思うが。
まぁ、とにかく。
僕は今、日常を『実感』している。それで充分だな。うん。
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