ぼくのセカイ征服
──
────
「…あとー時間か。」
授業後の教室というのは、どこか虚しい雰囲気を醸し出している。今のここよりも淋しい場所は、おそらく、深夜の観光地くらいだろう。
…多少表現が不適切な気がしないでもないが、まぁ、気にしないでおくか。キリがないし。
え?何故放課後の教室にいるのかって?その理由はただ一つ。
新規登録の部活動は、正式に存続が認められた場合…つまりは、一週間の間に部員を5人以上集めた場合にのみ、部室を与えられる。それまでは、教室が暫定的な部室となるのだ。
だから、僕は教室にいる。部活存続を諦めて帰る、という選択肢もあるのだが、ここまで来たら、出来るところまで悪あがきしてやるさ。一縷の望みと、奇跡を信じて。
と、ガラにもなく真剣な思考と眼差しをしている僕の傍らには、机に座り、足をぶらぶらさせているコトハの姿があった。
「…誰も…来ないね…」
「…そうだな…」
「そういえば、トオルくん。トバリちゃんは元気…?」
「え…?あ、ああ。相変わらずだよ…」
「そう…。それならいいけど…」
「うん…」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」
何だ、この空気は?正直、気まずい…。別に、コトハと話し続けていればいいのだが、しばらく学校を休んでいた彼女とは、共通の話題が少な過ぎるのだ。いくら話を紡いでも、すぐにほつれてしまう。要は、言葉に行き詰まってしまうのだ。
かといって、僕は一方的にどうでもいい事を聞かされるのに堪えられるタイプでも、どうでもいい事を延々と喋り続けられるタイプでもない。そして、コトハも、僕と同じようなタイプなのだと思う。
故に、話し始めてもすぐに静寂が教室を包み込み、沈黙の波が広がる。
…まったく、シュンのヤツはいつになったら妹を連れてくるのだろうか?
この気まずい空気から逃れるには『きっかけ』が必要だ。饒舌なアイツさえ来てくれれば、場の空気は一変するだろう。アイツを助けたあの日の夜、怒涛のメール責めに付き合ってやったのだから、少くらいは恩返しをしてくれてもいいと思うのだが。
というか。
恩返しをするのが筋というものではないだろうか?それとも、アイツは恩義なんてカケラすらも感じてなんかいないのだろうか?
なんて、僕が考えていたその時。
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「…あとー時間か。」
授業後の教室というのは、どこか虚しい雰囲気を醸し出している。今のここよりも淋しい場所は、おそらく、深夜の観光地くらいだろう。
…多少表現が不適切な気がしないでもないが、まぁ、気にしないでおくか。キリがないし。
え?何故放課後の教室にいるのかって?その理由はただ一つ。
新規登録の部活動は、正式に存続が認められた場合…つまりは、一週間の間に部員を5人以上集めた場合にのみ、部室を与えられる。それまでは、教室が暫定的な部室となるのだ。
だから、僕は教室にいる。部活存続を諦めて帰る、という選択肢もあるのだが、ここまで来たら、出来るところまで悪あがきしてやるさ。一縷の望みと、奇跡を信じて。
と、ガラにもなく真剣な思考と眼差しをしている僕の傍らには、机に座り、足をぶらぶらさせているコトハの姿があった。
「…誰も…来ないね…」
「…そうだな…」
「そういえば、トオルくん。トバリちゃんは元気…?」
「え…?あ、ああ。相変わらずだよ…」
「そう…。それならいいけど…」
「うん…」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」
何だ、この空気は?正直、気まずい…。別に、コトハと話し続けていればいいのだが、しばらく学校を休んでいた彼女とは、共通の話題が少な過ぎるのだ。いくら話を紡いでも、すぐにほつれてしまう。要は、言葉に行き詰まってしまうのだ。
かといって、僕は一方的にどうでもいい事を聞かされるのに堪えられるタイプでも、どうでもいい事を延々と喋り続けられるタイプでもない。そして、コトハも、僕と同じようなタイプなのだと思う。
故に、話し始めてもすぐに静寂が教室を包み込み、沈黙の波が広がる。
…まったく、シュンのヤツはいつになったら妹を連れてくるのだろうか?
この気まずい空気から逃れるには『きっかけ』が必要だ。饒舌なアイツさえ来てくれれば、場の空気は一変するだろう。アイツを助けたあの日の夜、怒涛のメール責めに付き合ってやったのだから、少くらいは恩返しをしてくれてもいいと思うのだが。
というか。
恩返しをするのが筋というものではないだろうか?それとも、アイツは恩義なんてカケラすらも感じてなんかいないのだろうか?
なんて、僕が考えていたその時。