ぼくのセカイ征服
なんて、僕が自虐していると、シュンが突然、教室を飛び出した。

「お、おい!いきなりどうしたんだ!?」
「僕も、職員室に行かなければ!」
「何か用事を思い出したのか?」
「いえ、ジュンちゃんを一人には出来ませんので!」
「お前なぁ…何でそんなに過保護なんだよ?」
「ジュンちゃんは、破滅的な方向オンチなんですよっ!」
「何言ってるんだよ?ここは学校だぞ?」
「ジュンちゃんは、放っておくと、この大地の果てまで歩き続けてしまうくらい、方向オンチなんですっ!だから、一人にするわけにはいかないんですよっ!」
「そんなに力説するなよ…行けばいいだろ、行けば。ほら、早く行けって!」
「はいっ!行ってきますっ!」

シュンがいなくなると、不意に、教室に静寂が舞い戻った。これで、ようやく一息入れられるな。
…はぁ…疲れた。ようやく4人目確保か。僕も含め、コトハ以外はろくでもないヤツばっかりだな。本当に。

「あの子、面白い子だね、トオルくん。」

束の間の安堵に浸る僕に、突然、コトハが話し掛けて来た。

「え…?シュンの事か?」
「えっと…明るい方!」
「やっぱりシュンか。ああ…。あれで、ヘンな趣味さえなければ、本当にいい後輩なんだけど。」
「趣味って…?」
「…女装。」
「え…っ!?ち、ちょっと待って…あの子は『彼女』…じゃなくて…『彼』なの!?」
「そうだけど?アイツは、立派な男だよ。妹も、『兄』って言ってただろ?」
「ほえ〜…じゃあ、あの妹ちゃんも、本当は『彼』なのかもしれないねっ!」
「それはないだろ?『妹』なんだし。っていうか、お前、妹が男装してた事はフツーにスルーか!」
「言われてみれば、妹ちゃんは男の子の格好をしてたね〜。」
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