不埒なドクターの誘惑カルテ
 甘えるような言い方に、私は素直に応じた。

「大輔さん」

 すると彼は、それに応えるように今までにないほど甘い声で「茉優」と私を呼んでくれた。

 私の頬を撫でていた彼の手が、髪の毛を梳く。彼の動きのひとつひとつが私の感情を高ぶらせた。

「好きだ。全部俺のものにしたい」

 至近距離でそう言われた私は、目を閉じて彼のキスを待つ。それが私のイエスの返事だと気がついた先生は、さっきとは比べものにならないほどのキスで私を翻弄する。

「……んっ……は」

 一枚ずつ脱がされていく洋服。私は生まれたままの姿になるにはそう時間はかからなかった。

「思った通りだ。この白い肌にずっとふれたかった」

 大事なものを扱うかのように、優しく私のふくらみに触れた。その彼の手から唇から流れ込んでくる愛情で、私自身が高ぶっていく。

「もう……あぁ……こんなこと……」

「こんなことって、茉優をくまなく愛することか?」

 大輔さんは言葉通り、私の体のいたるところに触れた。ときに激しく時に優しい動きは、私をドンドンダメにしていく。

 いままで知らなかった。私の体がこんなふうに、後先考えずに大輔さんを求めるなんて。

「もう……限界です」

 息も絶え絶えに彼に伝える。

「茉優、かわいい」

 そういった先生は、私の唇を激しく奪いながら、ゆっくりと私の中に入ってきた。

「大丈夫か?」

 私はゆっくりとうなずくと、彼の顔を見た。なぜだか胸が震えて涙がにじむ。

「どうした痛むのか?」

 私から離れようとする大輔さんを、引き留めた。

「ちがうの……なんだかうれしくて。やっと大輔さんの一番近くに来られたから」

 私の言葉に、彼が目を見開く。

「お前ってやつは……無自覚なのか、それとも計算なのか……そういうかわいいこと言うの反則だからなっ!」

「あっ……」

 彼の動きが激しくなり、キスも深くなる。彼の愛情を一身に受けて、私は愛のるつぼに落ちていった。



 
 どのくらい時間がたったのだろうか。私は頬に何かが振れる感覚で目が覚めた。

「起こしたか?」

「……いえ」

 目の前に彼の顔があって、一瞬驚いたがそのあとさっきまでの行為が思いだされて急に恥ずかしくなって、ゆっくりと布団を頭までかぶった。

「なにやってんだ?」

 笑いを含んだ声がきこえてきたけれど、恥ずかしさは増すばかりだ。

「それより、足痛くないか?」
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