不埒なドクターの誘惑カルテ
 シーツをめくり、私の足に手を添えた。

「はい……なんだか、急に先生みたいなこと言うんですね」

「〝みたい〟じゃなくて、先生なんだよ。ほら、他に怪我してないか見せてみろ」

「きゃー!」

 いきなりシーツがはぎ取られ、私はとっさにうつむけになった。

「もう、シーツ返してくださいっ」

「ダメ、今から点検するんだから。俺の大事な茉優のな」

 そういいながら、彼の大きな手のひらが背中を撫でた。ビクッと反応してしまった私の体を、なおも大輔さんの手が滑るようになでていく。

「よかった、大きな傷ができなくて」

 今日の事故のことを言っているのだろう。確かに一歩間違えればもっと大きな事故になっていたに違いない。

「茉優、こっち向いて」

 その声色から真剣な話だということがわかる。

「これからは、何があっても、ひとりで悩み傷つかないでほしい。これからはお前のことは、俺に守らせてほしい」

「……はい」

「じゃあ、茉優の了解も得たことだし、早速点検作業に入るぞ」

 そういったかと思うと、いきなり私の首筋に顔をうずめた。

「ちょっと、どういうことですか?」

「茉優を点検するんだよ。くまなく、な」

 いたずらっぽい笑顔の大輔さんに、思わずつられて笑いそうになった。しかし彼の手が私に触れ、熱を帯び始める
と、もうなにも考えられなくなってしまった。

 そして、空が白むころまで私を愛で満たしながら続いた。

 週明けには事故の報告--それに大輔さんとの仲を色々と聞かれるかもしれない。ちょっと大変だな……。とは思うけど、今は彼の腕でおもいっきり甘やましてもらおう。

 彼の甘い安全点検は、私を幸せで満たしてくれた。

End
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