呪われ姫と強運の髭騎士
婚約者は髭親父

(1)

 日の出前に起床したソニアは、身支度を整えて聖母様の像に祈りを捧げる。
 
 それから、一週間毎に決められた自分の役割をこなしていく。
 今週は朝食の配膳の係りだ。
 
 彼女のいる修道院はとても大きく、孤児院と女子寄宿学校も共に併設されていた。
 
 女子寄宿学校は良家の子女達の行儀見習いの場所となっていた。
 親元を離れて生活し、神の教えに沿った勉強をすることは先の人生に何かと有利に運ぶので、半年や一年という短い期間に入る貴族の息女達も多い。
 勿論、そのまま修道女の道に進むのも構わない。
 
 ソニアはそんな貴族の息女達の中では、ここにいる期間が長い。
 彼女の親は十年も前に亡くなり、あとを継ぐ兄達も相次いで亡くなった。
 ソニアは莫大な財産と広大な土地を持つクレア公爵家の直系の血を引く、ただ一人の娘となってしまったのだ。
 

 後見人あるこの国の王は、彼女をこの修道院に入れたのだ。
 


 まるで、何かから守るかのように――
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