呪われ姫と強運の髭騎士
「さすがに王子となると違いますねえ! どの仕草も優雅で素敵! あんなこと、その辺の男がすれば吹いちゃう所なのに、惚れ惚れするばかりでしたわ!」
 
 手の甲に口付けをされた侍女は、浮かれてソニアにベラベラと喋り続けていたが、ソニアの様子がおかしいことに気付き、ようやく口を閉ざした。
 
 毛布をギュッと握りしめ、ジッと一点を見つめている。

「ソニア様? ご気分が悪くなりました?」
 
 侍女が恐る恐る尋ねるが、ソニアは聞いていないようだった。

 そしてポソッと呟く。

「……セヴラン様、私に触れないようにしていたわ……」
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