呪われ姫と強運の髭騎士
◇◇◇◇
 
 一番星がちらつく頃、クリスが迎えにやって来た。

「ギリギリ間に合いましたな……」
 
 そういう彼は
 
 ダークグリーンに、深いゴールド縁取りをしたロングジャケットコート。
 
 その下のシャツは金ボタンのシンプルな白シャツに、サーモンピンクの細い刺繍がが入ったベストで覆い、襟のスカーフはプラム色で金剛石のブローチを留めていた。
 
 下履きは多少余裕のあるスパッツで、彫りの入った膝上のロングブーツには折り返しがあり、色はシエナ色。
 
 要所要所で自分が着ている色を使って、二人揃った姿に統一感を見せているのだろう。
 
 全体的に甘い感じになっているが、嫌らしさもなく派手でなく――それでいて似合っている。
 
 ――流石、王宮騎士。立ち姿が決まっていてソニアは思わず見惚れる。

(……けど、髭は剃らないんですね……)
 
 クリスの顔を見てガックリ肩を落とした。
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