呪われ姫と強運の髭騎士
「侍女達が話していた通りですな! 本当に一輪の可憐な花のようです、見事に咲き誇りましたよ」
クリスも自分の姿を見ていたようだ。微笑みを向けて称賛する。
照れたような表情が読み取れて、ソニアも思わず頬を染めて俯いてしまう。
「エスコート役の私は『添え物』として徹しようと、地味な衣装を用意させたのですが、様子を見に来た姫の侍女からの話を聞いて、私に付いていた侍女二人も闘志を燃やしまして『そんなにお若いご令嬢のエスコートなら、もっと華やかに装わなくては!』と……五人がかりで揉まれました……」
凄いですね、とクリスにしては最後辺りの台詞が弱々しかった。
思い出したのか、冷や汗をかいて侍女が近付くとビクッと巨体を揺らす。
(五人……さぞかし凄まじかったのだろうな。三人の私でさえ気迫に押されたもの)
五人の侍女に囲まれて、最初から気付けのやり直しをさせられたクリスの姿を想像すると、つい笑ってしまう。
「ご苦労様です、クリス様」
「ご苦労様だなんて、これからですよ? ――さあ、充分にお楽しみあれ!」
白い手袋をはめたクリスの手が差し出される。
ソニアは「はい」と歯ぎり良い返事をして彼の手をとった。
クリスも自分の姿を見ていたようだ。微笑みを向けて称賛する。
照れたような表情が読み取れて、ソニアも思わず頬を染めて俯いてしまう。
「エスコート役の私は『添え物』として徹しようと、地味な衣装を用意させたのですが、様子を見に来た姫の侍女からの話を聞いて、私に付いていた侍女二人も闘志を燃やしまして『そんなにお若いご令嬢のエスコートなら、もっと華やかに装わなくては!』と……五人がかりで揉まれました……」
凄いですね、とクリスにしては最後辺りの台詞が弱々しかった。
思い出したのか、冷や汗をかいて侍女が近付くとビクッと巨体を揺らす。
(五人……さぞかし凄まじかったのだろうな。三人の私でさえ気迫に押されたもの)
五人の侍女に囲まれて、最初から気付けのやり直しをさせられたクリスの姿を想像すると、つい笑ってしまう。
「ご苦労様です、クリス様」
「ご苦労様だなんて、これからですよ? ――さあ、充分にお楽しみあれ!」
白い手袋をはめたクリスの手が差し出される。
ソニアは「はい」と歯ぎり良い返事をして彼の手をとった。