呪われ姫と強運の髭騎士
 頭の中は真っ白なのに、セヴランの告白はしっかりとソニアの耳に聞こえ、捉えて離さない。
 
 まるで糸菓子に五感を絡められたように、動きの一切が止まる。
 
 だけど胸の鼓動だけは早鐘を打ち続け、動きを止めるどころか更に早く大きくなっている気がした。
 
 そうなってしまう発端が、すぐ目の前にいる。
 
 ゆっくりと端麗な容姿が近付き、綺麗な翠の瞳がソニアの顔を写すのが見えるところまで。
 
 キラキラと光っているのは幻なのか――

(ああ、顔のラメ……)
 
 そんな物、付けなくても充分綺麗なのに、そう思いながらじっとセヴランを見つめた。



「こんな所にいましたか、姫君。探しましたよ」
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