呪われ姫と強運の髭騎士
「うっわっ!」
ヌッと二人の目線の高さに、髭が出現した。
驚いたセヴランが、腰を抜かさんばかりに後ろに下がる。
「クリス様……!」
ランプの灯りに照らされた人物が、誰だか確認できたソニアを見ることなく、彼はセヴラン視線を向けた。
強い眼光が薄闇の中でも分かる。
その威嚇の眼差しに、セヴランは明らかに動揺していた。
「セヴラン様、王がお呼びでしたぞ。今夜は名実とも、ホスト役をお務めなさる予定だと伺っております。こんなところで羽目を外している場合ではないのでは?」
「ソニアの様子が気になったんだ」
「ソニア様のことは私にお任せください――さあ、あまり、数あるご婦人達をお待たせしてはなりません」
少々刺のある言い方だったが、セヴランは『数ある婦人』で数人顔を思い出したらしく慌てて立ち上がり、身繕いをする。
「失念していた……! すぐに会場に戻らねば」
セヴランは忘れずにソニアの手に口付けをすると
「ソニア、今度ゆっくりとアフタヌーン・ティーでも楽しみましょう――では」
と、彼女の同意も聞かずに、足早に闇の中の庭に紛れていった。
ヌッと二人の目線の高さに、髭が出現した。
驚いたセヴランが、腰を抜かさんばかりに後ろに下がる。
「クリス様……!」
ランプの灯りに照らされた人物が、誰だか確認できたソニアを見ることなく、彼はセヴラン視線を向けた。
強い眼光が薄闇の中でも分かる。
その威嚇の眼差しに、セヴランは明らかに動揺していた。
「セヴラン様、王がお呼びでしたぞ。今夜は名実とも、ホスト役をお務めなさる予定だと伺っております。こんなところで羽目を外している場合ではないのでは?」
「ソニアの様子が気になったんだ」
「ソニア様のことは私にお任せください――さあ、あまり、数あるご婦人達をお待たせしてはなりません」
少々刺のある言い方だったが、セヴランは『数ある婦人』で数人顔を思い出したらしく慌てて立ち上がり、身繕いをする。
「失念していた……! すぐに会場に戻らねば」
セヴランは忘れずにソニアの手に口付けをすると
「ソニア、今度ゆっくりとアフタヌーン・ティーでも楽しみましょう――では」
と、彼女の同意も聞かずに、足早に闇の中の庭に紛れていった。