呪われ姫と強運の髭騎士
 ――だけど対角線上に座ってしまい、更に気まずい。
 
 どういう訳か身体が拒絶しているのだ。
 
 分かっている。彼の顔のラインをびっしりと埋めている髭だ。
 この髭が生理的に受け付けないのだ。
 
 しかし、髭だけじゃない。
 目を盗んで服から覗く手の甲や指にもびっしり毛が「これでもか」と言わんばかり生えている。

(この人、毛深いんだわ)
 
 でも、とソニアは考える。
 
 いくら男子禁制の修道院に居たからと、気を失うほど髭や毛深い男性を嫌悪する理由にはならない。
 
 七つまで自分は普通に接していたではないか、このおじ様とも。
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