呪われ姫と強運の髭騎士
――王太子妃との道ならぬ恋
(生涯結婚はしない、と誓っていたのはそのお方の為?)
――そして
(パトリス王は厄介払いの為に私にクリス様をあてがったの?)
――まるで兄か父のような思いで、王に接していたのに。
(駒の一つとして扱われたの?)
クリスフォード・コルトーは今までの史上最強の『ディヤマン』と謳われ、他国からも『彼が戦場に現れたら迷わず撤退せよ』と恐れられるほどだ。
そんな彼を、不義密通の罪があるからと追放なんて出来ない。
――なら
「……何も知らない私と結婚させて、体よく王宮から追い出してかつ、国から出ていくことの無いようにしたの……?」
明らかになっていく現状が重苦しくソニアの心にのし掛かり、息苦しさに何度も深い呼吸を繰り返す。
「ソニア、大丈夫?」
パメラの手がソニアの肩に回る。ソニアは彼女に支えられる形になった。
「……私、このままで良いのかしら……? 分からなくなってきたわ」
自分にとっても、クレア家にとっても、クリスと結婚することは望ましい――分かる。
貴族の家に生まれたからには、結婚は愛だけで結ばれることは難しいことも、ソニアは心得ていた。
結婚してから関係を築いていけば良い。
貴族の結婚とはそんなものだ。
ソニアが悲観しないのは、それで結婚して思いあって労り合う両親を見てきているからだ。
(生涯結婚はしない、と誓っていたのはそのお方の為?)
――そして
(パトリス王は厄介払いの為に私にクリス様をあてがったの?)
――まるで兄か父のような思いで、王に接していたのに。
(駒の一つとして扱われたの?)
クリスフォード・コルトーは今までの史上最強の『ディヤマン』と謳われ、他国からも『彼が戦場に現れたら迷わず撤退せよ』と恐れられるほどだ。
そんな彼を、不義密通の罪があるからと追放なんて出来ない。
――なら
「……何も知らない私と結婚させて、体よく王宮から追い出してかつ、国から出ていくことの無いようにしたの……?」
明らかになっていく現状が重苦しくソニアの心にのし掛かり、息苦しさに何度も深い呼吸を繰り返す。
「ソニア、大丈夫?」
パメラの手がソニアの肩に回る。ソニアは彼女に支えられる形になった。
「……私、このままで良いのかしら……? 分からなくなってきたわ」
自分にとっても、クレア家にとっても、クリスと結婚することは望ましい――分かる。
貴族の家に生まれたからには、結婚は愛だけで結ばれることは難しいことも、ソニアは心得ていた。
結婚してから関係を築いていけば良い。
貴族の結婚とはそんなものだ。
ソニアが悲観しないのは、それで結婚して思いあって労り合う両親を見てきているからだ。