呪われ姫と強運の髭騎士
『クリスから君を奪って良いかな』
ハッと思い出す。キスをしそうになったことも。
セヴランの端麗な顔立ちが、すぐ近くにあったことにソニアは顔を赤くする。
「クリスとは、まだキスもしていないの?」
「……えっ? ええと、そ、それは、その……」
最後は消え入りそうな声になり、セヴランは「えっ? 聞こえない」と目を眇める。
「だ、だから……その、まだ……です」
しょぼんと頭を垂らし告白したソニアを見て、セヴランは快活に笑った。
「悪戯をしてばれた子供みたいだよ、ソニア」
「ひっ! 酷いわ! セヴラン様!」
「だって、小さい頃に遊んだ時と変わっていないから……つい!」
上半身を前に屈し、額をバルコニーの柵に当てて笑うセヴラン。
「そう言えばそうですね……。よくセヴラン様と悪戯を考えて、すぐばれちゃって……」
「ソニアは嘘をつくのが下手だったよね。すぐに謝ってバレてしまって」
「だって、あんなに驚かれるとは思わなかったから、私も悪かったな、って」
「悪戯が好きなのに、最後までシラをきれないんだったよね。ソニアは。僕はいつも巻き込まれて一緒に謝って」
「……そうです。あの頃は本当にごめんなさい」
「僕も結構楽しんでいたから、気にしないで――嫌だったら、君が遊びに来る度に近付かないでしょ?」
そう微笑まれてソニアは頬を染めた。
そう言った後、あっ、とセヴランは気付たように声をあげる。
「もしかしたら、まだ僕を幼馴染みの王子として見ているのかい?」
「いいえ、そうはもう……。先程のエスコートも素晴らしかったですし」
ソニアの言葉に「良かった」とセヴランが呟く。
「今だにそう思われていたら、嫌だなと。君にプロポーズしようとしている僕としては」
その言葉にソニアは言葉を失ったまま立ち尽くし、セヴランを見つめた。
大きく瞳を開き呆然としているソニアの手を、セヴランは優しく握る。
握る手と同じくらい優しい彼の表情には、どこか照れくささが見えていた。
ハッと思い出す。キスをしそうになったことも。
セヴランの端麗な顔立ちが、すぐ近くにあったことにソニアは顔を赤くする。
「クリスとは、まだキスもしていないの?」
「……えっ? ええと、そ、それは、その……」
最後は消え入りそうな声になり、セヴランは「えっ? 聞こえない」と目を眇める。
「だ、だから……その、まだ……です」
しょぼんと頭を垂らし告白したソニアを見て、セヴランは快活に笑った。
「悪戯をしてばれた子供みたいだよ、ソニア」
「ひっ! 酷いわ! セヴラン様!」
「だって、小さい頃に遊んだ時と変わっていないから……つい!」
上半身を前に屈し、額をバルコニーの柵に当てて笑うセヴラン。
「そう言えばそうですね……。よくセヴラン様と悪戯を考えて、すぐばれちゃって……」
「ソニアは嘘をつくのが下手だったよね。すぐに謝ってバレてしまって」
「だって、あんなに驚かれるとは思わなかったから、私も悪かったな、って」
「悪戯が好きなのに、最後までシラをきれないんだったよね。ソニアは。僕はいつも巻き込まれて一緒に謝って」
「……そうです。あの頃は本当にごめんなさい」
「僕も結構楽しんでいたから、気にしないで――嫌だったら、君が遊びに来る度に近付かないでしょ?」
そう微笑まれてソニアは頬を染めた。
そう言った後、あっ、とセヴランは気付たように声をあげる。
「もしかしたら、まだ僕を幼馴染みの王子として見ているのかい?」
「いいえ、そうはもう……。先程のエスコートも素晴らしかったですし」
ソニアの言葉に「良かった」とセヴランが呟く。
「今だにそう思われていたら、嫌だなと。君にプロポーズしようとしている僕としては」
その言葉にソニアは言葉を失ったまま立ち尽くし、セヴランを見つめた。
大きく瞳を開き呆然としているソニアの手を、セヴランは優しく握る。
握る手と同じくらい優しい彼の表情には、どこか照れくささが見えていた。