呪われ姫と強運の髭騎士
「……それは……脅迫ではありませんか」

 司祭がそんな言葉を吐くなんて――ソニアは自分の耳を疑った。

「ウィリアムは信心深い方だった。恐らく神に仕える自分が言えば、恐れて荘園を返還してくれるだろうと思ったのだろう」
「だけど、お祖父様はお断りなさったのですね……?」
 
 パトリスが頷く。

「そのあと、しばらく押し問答が続いたそうだ。激昂していく両者――そして」

『神の御言葉の通じぬ貴様は、もう、神からの恵みなど一切無いぞ!』
『神を盾にして己の欲を満たそうとするなど!  神罰が下るのは司祭!  貴様だ!』
『私を愚弄するとは!  神を愚弄すると同じ、許すことはありませんぞ!  クレア家が途絶えるその日まで神罰は下るでしょう!』
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