呪われ姫と強運の髭騎士
「司祭がそうウィリアムに告げたその時に、祈祷所のマリア像が司祭の背中に落ちてきて、司祭は絶命したのだ」
「そんなことが……だから城内の祈祷所は閉鎖されていたのですね……」
「ウィリアムは神罰が下ったのは司祭だと感じたそうだ。流石に血で汚れてしまった祈祷所はそのまま使うわけにいかず、外に教会を建設し新な司祭を雇ったのだが……」
 
 パトリスはそこで、一旦唾を飲み込んだ。

「紅茶を……」
「いや、水でいい」

  新しく茶を煎れなおす為に侍女を呼ぼうとしたソニアを、パトリスは止め水差しからグラスに注ぎ飲む。
 
 一気に飲んで渇きを潤したパトリスは、再び口を開いた。

「何とも後味の悪い結末になってしまったが、どうにか解決した――とウィリアムは当時まだ王太子であった私と、私の父である当時の王に話していた。私は話を聞いて『天罰』は正しく行われたと思ったよ」
「……なのに、クレア家と私の身に起きる恐ろしい現象は何なのですか!  祖父が話していない事実があるのではないのでしょうか?」
 
 震える声で懸命に話すソニアに、パトリスは首を振った。

「ソニア、これはまだ序章に過ぎない。問題はその後なのだ」
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