呪われ姫と強運の髭騎士
 ああ、と王妃は彼の態度の意味が分かり顔を綻ばせた。

「クリスはソニアが好きなのね? 一人の女性として」
「ぐっ」
 
 クリスの喉から奇妙な音がして立ち止まる。

 それからゆっくりと王妃に振り返った。
 
 振り返ったクリスを見て、王妃は
「あらあら」
と、嬉しそうに笑った。

「本当に結婚しそうね」
「……私の気持ちより、ソニア様の事が優先ですよ」

 
 再び王妃の前を足早に歩くクリスの顔は、蝋燭の拙い灯りしか無い廊下でも、はっきりと分かるほど真っ赤であった。
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