呪われ姫と強運の髭騎士
◇◇◇◇
 
 夕餉の席にはブリジット侯爵夫人も一緒だった。
 
 変わらず、華美にならないが気品のある装いに身を包み、穏やかな笑みを浮かべソニアやクリスを迎え入れる。
 
 ――だが、どこか彼女が緊張しているように見えるのは気のせいか。
 
 慈愛に溢れた静かな微笑みが、強張っているように自分を見るのを気になったが、もう十年ぶりだ。

(夫人はあまり積極的な方ではなかったはずだから、久し振りに私と会って緊張しているのかも)
 
 元々根が明るい、プラス思考のソニアは一人合点していた。

「ところで、カトリーヌ様はお元気でいらっしゃいますか?」
 
 早く打ち解けてほしくてソニアは夫人に、仲良くしていた侯爵の娘・カトリーヌのことを尋ねた。
 
 カトリーヌは自分より二つ歳上だ。もう他家に嫁いでいるかもしれない。
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