呪われ姫と強運の髭騎士
◇◇◇◇
夏至祭は夜から始まる。
夜が明けて、パメラが侍女のお仕事とばかりに寝台のカーテンを開けた。
「ソニア様、起きてください」
と、のっそりと身体を起こしたソニアを見て、パメラはぎょっとした。
彼女の目の下の隈が、半端なく青い。
「ソニア様、もしかしたら寝ていないのですか?」
こくん、頷くソニアの表情は暗い。
じめっとして、今にも大粒の涙を流しそうな雰囲気だ。
恐らく原因は、昨日アロイス様から聞いたクリス様の件だろう。
「……ソニア」
パメラは侍女の仮面を外し親友の顔に戻ると、寝台にいるソニアのすぐ近くに腰を下ろした。
「諦めて良い友人としてお付き合いする? そして、呪いが解けた瞬間から求婚してきた、あまたのご子息の中から選ぶ?」
ソニアは弱々しく首を振った。
「……でも、クリス様にはもう心に決めたお方がいらっしゃるようなのに……私、告白する勇気が消えてしまったわ。エスコートなんてお願いしなければ良かった……」
ポロポロとソニアの頬に涙が伝う。
パメラは、自分の真っ白なエプロンでソニアの頬を拭う。優しく労りをもって。
「ソニア、駄目でも何でも、ちゃんと自分の気持ちを伝えるつもりでここに来たんでしょう? 忘れちゃったの?」
「忘れていないわ。私、何処かで大丈夫って、確信もないのに告白を受け入れてくれるって思っていたんだわ、きっと」
じゃなければ、告白することがこんなに怖いわけない。
「じゃあ、告白するのは止める?」
「……」
夏至祭は夜から始まる。
夜が明けて、パメラが侍女のお仕事とばかりに寝台のカーテンを開けた。
「ソニア様、起きてください」
と、のっそりと身体を起こしたソニアを見て、パメラはぎょっとした。
彼女の目の下の隈が、半端なく青い。
「ソニア様、もしかしたら寝ていないのですか?」
こくん、頷くソニアの表情は暗い。
じめっとして、今にも大粒の涙を流しそうな雰囲気だ。
恐らく原因は、昨日アロイス様から聞いたクリス様の件だろう。
「……ソニア」
パメラは侍女の仮面を外し親友の顔に戻ると、寝台にいるソニアのすぐ近くに腰を下ろした。
「諦めて良い友人としてお付き合いする? そして、呪いが解けた瞬間から求婚してきた、あまたのご子息の中から選ぶ?」
ソニアは弱々しく首を振った。
「……でも、クリス様にはもう心に決めたお方がいらっしゃるようなのに……私、告白する勇気が消えてしまったわ。エスコートなんてお願いしなければ良かった……」
ポロポロとソニアの頬に涙が伝う。
パメラは、自分の真っ白なエプロンでソニアの頬を拭う。優しく労りをもって。
「ソニア、駄目でも何でも、ちゃんと自分の気持ちを伝えるつもりでここに来たんでしょう? 忘れちゃったの?」
「忘れていないわ。私、何処かで大丈夫って、確信もないのに告白を受け入れてくれるって思っていたんだわ、きっと」
じゃなければ、告白することがこんなに怖いわけない。
「じゃあ、告白するのは止める?」
「……」