呪われ姫と強運の髭騎士
「――えっ?」
間が空いた。
まさか今、自分の名を上げなかったかとソニアを見ると、真っ赤な顔をして不安げに拳を作る彼女がいた。
「私、好きです。クリス様の事。例え同僚の女騎士様がお好きでも、私、この気持ち……伝えたか……った……」
涙が溢れて、抑えようとすると口が震えてしまう。
自分の気持ちを伝えてスッキリして、彼の結婚を祝福しよう――ソニアは涙を抑えるのを諦めて、指で拭いながら告白を続ける。
「クリス様の励ましに、明るさにどんなにか救われたか。私、貴方に出会えてよかった。でなければ、ここにこうして無事な姿でいなかった。出来れば、クリス様とずっと一緒にいたかった……でも、クリス様にはお慕いしている方がいらっしゃる……私、これ以上我儘は言いません。今夜、こうしてクリス様と二人でいられたことを大事にして生きていきます」
「――待ってください。その、女騎士とは……? 一体どなたの事を仰って?」
てんで分からない、といった様子でソニアの言葉を遮り尋ねてきたクリスに、
「昨日、アンリ殿下から聞きました! 『今女騎士と王を交えて深刻な話をしているから』と!」
とソニアは、感情のままに答える。
それで悟ったのか、ああ、とクリスは呆れたような表情をした。
「酷いわ! そんな呆れ顔をしなくても! 私がクリス様を好きなのがそんなにご迷惑なの!」
酷い!――いくら歳の差があっても真剣な想いを告げたのに!
「私を子供だと思って、そんな態度でいらっしゃるんですか!」
ソニアの解釈にクリスは、驚きながらも否定した。
「呆れたのは殿下に対してです。深刻な話だなんて、からかわれたのですよ、私とソニア様は」
「……えっ?」
今度はソニアが、訳が分からないとポカンとする番であった。
間が空いた。
まさか今、自分の名を上げなかったかとソニアを見ると、真っ赤な顔をして不安げに拳を作る彼女がいた。
「私、好きです。クリス様の事。例え同僚の女騎士様がお好きでも、私、この気持ち……伝えたか……った……」
涙が溢れて、抑えようとすると口が震えてしまう。
自分の気持ちを伝えてスッキリして、彼の結婚を祝福しよう――ソニアは涙を抑えるのを諦めて、指で拭いながら告白を続ける。
「クリス様の励ましに、明るさにどんなにか救われたか。私、貴方に出会えてよかった。でなければ、ここにこうして無事な姿でいなかった。出来れば、クリス様とずっと一緒にいたかった……でも、クリス様にはお慕いしている方がいらっしゃる……私、これ以上我儘は言いません。今夜、こうしてクリス様と二人でいられたことを大事にして生きていきます」
「――待ってください。その、女騎士とは……? 一体どなたの事を仰って?」
てんで分からない、といった様子でソニアの言葉を遮り尋ねてきたクリスに、
「昨日、アンリ殿下から聞きました! 『今女騎士と王を交えて深刻な話をしているから』と!」
とソニアは、感情のままに答える。
それで悟ったのか、ああ、とクリスは呆れたような表情をした。
「酷いわ! そんな呆れ顔をしなくても! 私がクリス様を好きなのがそんなにご迷惑なの!」
酷い!――いくら歳の差があっても真剣な想いを告げたのに!
「私を子供だと思って、そんな態度でいらっしゃるんですか!」
ソニアの解釈にクリスは、驚きながらも否定した。
「呆れたのは殿下に対してです。深刻な話だなんて、からかわれたのですよ、私とソニア様は」
「……えっ?」
今度はソニアが、訳が分からないとポカンとする番であった。