呪われ姫と強運の髭騎士
しばらく間があった。
涙も引っ込み、ポカンとしてクリスを見ていたソニアの口がようやく開く。
「……もしかしたら……求婚、ですか……?」
「もしかしなくても求婚です」
「嘘……! だって私のこと、子供にしか見えないでしょう? クリス様はそう――もっと大人で女らしい、王太子妃のようなお方が、お好きなのではないですか!?」
「王太子妃?」
クリスは意外な人の名前が出てきたと言う顔をしたが、ああ、と思い当たったのか顎を擦りながら告げる。
「確か以前に、そのような噂話が王宮に通う貴婦人の間に出ました。言いたくはありませんが、数人の貴婦人の王太子妃に対する嫉妬からです」
「それは……?」
「王太子妃がアロイス様とのご成婚が決まった時にです。――選ばれなかった女性達の嫉妬で、捨て置けないとアンリ様直々に全面に出て、噂を広めた貴婦人たちに注意と警告をして、鎮静したかと思っていたのですが……」
まだ噂が尾をひいていたのですか、とクリスは大息を吐いた。
「……では、みんな誤解だったんですね……」
脱力したように長い溜息を吐くソニアを見て、クリスは深い笑みを浮かべた。
「仕切り直しをしても宜しいかな?」
今度は手に軽い圧力がかかり、ソニアは再び鼓動が逸るのを感じた。
「簡潔に言います。ソニア様、私と結婚してください」
目の前にいる騎士は、真っ直ぐに真摯に自分を見つめる。
涙も引っ込み、ポカンとしてクリスを見ていたソニアの口がようやく開く。
「……もしかしたら……求婚、ですか……?」
「もしかしなくても求婚です」
「嘘……! だって私のこと、子供にしか見えないでしょう? クリス様はそう――もっと大人で女らしい、王太子妃のようなお方が、お好きなのではないですか!?」
「王太子妃?」
クリスは意外な人の名前が出てきたと言う顔をしたが、ああ、と思い当たったのか顎を擦りながら告げる。
「確か以前に、そのような噂話が王宮に通う貴婦人の間に出ました。言いたくはありませんが、数人の貴婦人の王太子妃に対する嫉妬からです」
「それは……?」
「王太子妃がアロイス様とのご成婚が決まった時にです。――選ばれなかった女性達の嫉妬で、捨て置けないとアンリ様直々に全面に出て、噂を広めた貴婦人たちに注意と警告をして、鎮静したかと思っていたのですが……」
まだ噂が尾をひいていたのですか、とクリスは大息を吐いた。
「……では、みんな誤解だったんですね……」
脱力したように長い溜息を吐くソニアを見て、クリスは深い笑みを浮かべた。
「仕切り直しをしても宜しいかな?」
今度は手に軽い圧力がかかり、ソニアは再び鼓動が逸るのを感じた。
「簡潔に言います。ソニア様、私と結婚してください」
目の前にいる騎士は、真っ直ぐに真摯に自分を見つめる。