呪われ姫と強運の髭騎士
ゆっくりと進み、ようやく城下街を抜けたソニアとクリスは、ほー……、と全身の力が抜けるような息を吐いた。
同時にやったので、お互いに顔を見合わせ笑い合う。
「クリス様も同じ気持ちでした?」
「ソニア様も? ただでさえ緊張をするというのに、こんな馬車で見られっぱなしでは疲れますよね」
そう話すクリスに、ソニアは不満げな顔を見せた。
クリスは不思議に思い首を傾げる。
「如何しました?」
「私達、もう夫婦なんですよ? 『様』なんて他人行儀みたいなの、つけないでください」
それはそうでしたな、と軽い笑いをあげるとクリスは、ソニアの手を握り彼女を見つめて言った。
「ソニア」
と。
自分だけに聞こえるよう低く囁く声に男の色気を感じて、ソニアはかあ、と顔が熱くなる。
「……あの、その、私は、クリス様のことを、何と呼べば、良いでしょう?」
顔を真っ赤にしながら尋ねてくるソニアを、クリスは可愛いと思いながら、
「好きに呼んで下さい」
と微笑む。
「う~ん……『クリス様』だと今までと変わらないし、だといって呼びつけだと生意気に感じられますし……『旦那様』は如何でしょうか?」
「良いですよ、ソニアの好きな呼び方で」
「――もう! それではクリス様がどんな呼び方が好きなのか――あっ……クリス様って呼んじゃった……」
はたと気付き慌てるソニアを見て、クリスは楽しそうに笑いながら言った。
「少しずつでいい。慣れていきましょう。先はまだまだ長いのですから」
「そうですね、慌てなくても――」
ソニアの口が塞がれた。
塞ぐのはクリスの温かい唇だ。
「――ん」
ソニアの詰まった声のあと、彼の唇が離れた。
「これもね。結婚式の誓いの口付けから、まだ二回目ですから」
ウィンクして見せた彼は、何処かいたずらっ子のような表情を見せた。
だけど、余裕ある大人の雰囲気は隠せようがない。
同時にやったので、お互いに顔を見合わせ笑い合う。
「クリス様も同じ気持ちでした?」
「ソニア様も? ただでさえ緊張をするというのに、こんな馬車で見られっぱなしでは疲れますよね」
そう話すクリスに、ソニアは不満げな顔を見せた。
クリスは不思議に思い首を傾げる。
「如何しました?」
「私達、もう夫婦なんですよ? 『様』なんて他人行儀みたいなの、つけないでください」
それはそうでしたな、と軽い笑いをあげるとクリスは、ソニアの手を握り彼女を見つめて言った。
「ソニア」
と。
自分だけに聞こえるよう低く囁く声に男の色気を感じて、ソニアはかあ、と顔が熱くなる。
「……あの、その、私は、クリス様のことを、何と呼べば、良いでしょう?」
顔を真っ赤にしながら尋ねてくるソニアを、クリスは可愛いと思いながら、
「好きに呼んで下さい」
と微笑む。
「う~ん……『クリス様』だと今までと変わらないし、だといって呼びつけだと生意気に感じられますし……『旦那様』は如何でしょうか?」
「良いですよ、ソニアの好きな呼び方で」
「――もう! それではクリス様がどんな呼び方が好きなのか――あっ……クリス様って呼んじゃった……」
はたと気付き慌てるソニアを見て、クリスは楽しそうに笑いながら言った。
「少しずつでいい。慣れていきましょう。先はまだまだ長いのですから」
「そうですね、慌てなくても――」
ソニアの口が塞がれた。
塞ぐのはクリスの温かい唇だ。
「――ん」
ソニアの詰まった声のあと、彼の唇が離れた。
「これもね。結婚式の誓いの口付けから、まだ二回目ですから」
ウィンクして見せた彼は、何処かいたずらっ子のような表情を見せた。
だけど、余裕ある大人の雰囲気は隠せようがない。