呪われ姫と強運の髭騎士
「どうせ、土地と金目当てなくせに。次男以下は土地金無しだから、良いところの娘を取っ捕まえるのに必死だよなあ――ヒィ!」

 また!
 ソニアは今度は、真っ青になって口を塞いだ。

「わた、私……! そんなこと思っておりません! な、……! 何で!」
 
 自分で自分が分からなくなって、ソニアは口を手で押さえながら首を振る。
 
 瞳一杯に涙を溜め込んで違うと拒絶を繰り返すソニアに、クリスはガシッと細い両肩を掴む。
 そして、ニコリと彼女に満面の笑顔を見せた。

「姫君はお疲れなのですよ。一晩ゆっくりとお休みなさい。そうだ、ロザリオはお持ちですか?」
「あ……はい。私が修道院でいつも使っていた物が……」
「急に結婚が決まって、急いで修道院を出たせいで恐らく気が高ぶっているのですよ。修道院にいた時と同じように、ロザリオを手にしていれば落ち着いてきましょう」
「そ、そうですね! きっとそうだわ!」
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