呪われ姫と強運の髭騎士
(2)
次の朝も早く、侯爵家の別邸を出てクレア城に向かって出発をした。
ソニアは夫人から「馬車の中で食べてね」と直々に渡されたバスケットを膝の上に乗せて、上機嫌だった。
(昨夜は侯爵様の言っていた通り、調子が良くなかったのね)
ロザリオを首に掛けてから、自分の中の黒いモヤみたいなのがスッキリし、そのせいかクリスの髭面や濃い毛が見える手の甲を見ても何とも……少しはブルッとするくらいだ。
「バスケットの中には何が入っているのですか?」
クリスが興味津々で尋ねてきた。
と言うのも、まだ日が昇らないうちの薄暗い中での出発で、食事も取っていないのだ。
そしてバスケットの中から、えも言われぬ良い匂いがして、それが馬車内に充満している。
「開けてみますね」
ソニアも気になっていた。この焦げた砂糖の甘い匂いが堪らない。
開けてソニアはヒヤシンスブルーの瞳を目一杯に広げ輝かせる。
そして「はい」と、バスケットごとクリスに中身を見せた。
ハムやチーズに野菜をたっぷりと詰め込んだバケットサンドに、揚げた鶏肉。それから干した果物をふんだんに入れたケーキ。
新鮮な果物と所狭しと、たっぷり詰め込まれていた。
「これは凄いですな!」
クリスも瞳を輝かせる。もう食らい付かんばかりだ。
ソニアは夫人から「馬車の中で食べてね」と直々に渡されたバスケットを膝の上に乗せて、上機嫌だった。
(昨夜は侯爵様の言っていた通り、調子が良くなかったのね)
ロザリオを首に掛けてから、自分の中の黒いモヤみたいなのがスッキリし、そのせいかクリスの髭面や濃い毛が見える手の甲を見ても何とも……少しはブルッとするくらいだ。
「バスケットの中には何が入っているのですか?」
クリスが興味津々で尋ねてきた。
と言うのも、まだ日が昇らないうちの薄暗い中での出発で、食事も取っていないのだ。
そしてバスケットの中から、えも言われぬ良い匂いがして、それが馬車内に充満している。
「開けてみますね」
ソニアも気になっていた。この焦げた砂糖の甘い匂いが堪らない。
開けてソニアはヒヤシンスブルーの瞳を目一杯に広げ輝かせる。
そして「はい」と、バスケットごとクリスに中身を見せた。
ハムやチーズに野菜をたっぷりと詰め込んだバケットサンドに、揚げた鶏肉。それから干した果物をふんだんに入れたケーキ。
新鮮な果物と所狭しと、たっぷり詰め込まれていた。
「これは凄いですな!」
クリスも瞳を輝かせる。もう食らい付かんばかりだ。