呪われ姫と強運の髭騎士
「如何した?」
「私ったらもうお嫁に行く歳なのに……。全然、淑女らしくないですよね……恥ずかしいです」
「良いんじゃないですか。人それぞれですよ。あまりに消極的で人見知りがあっても、主人がいない間の城の切り盛りで不都合が出ますし。恐れないで楽しいことや嬉しいことに変換して前へ進んでいけることは、きっとこれから先、姫君にとても大切なことになりましょう」
ふと、クリスの手がソニアの手から離れた。
「――ほら! あそこをご覧なさい」
指を指す方向を見て、ソニアは歓声を上げた。
なだらかな丘を上がった先に、白い花の群生が一面を覆っていたのだ。
「白爪草だと思いますが……。見事なので是非姫君にも見せたいと思いましてね」
「綺麗! とても素晴らしいわ! クリス様、ありがとうございます!」
クリスはピョンピョンと跳ねて行きそうな勢いのソニアに微笑み、白爪草の花畑に連れて行く。
その場に着くとクリスはマントを外し、下に敷いた。
「さあ、お座りください」
その淀みない様子に、ソニアは一瞬ポカンとしてすぐに頬を染めた。
「あ、ありがとうございます」
いえ、と微笑むクリスが今はやけに眩しく見える。
――これで髭さえなければ。ううん、髭があっても……。
とソニアは思う。
クリスもソニアから少し間を空けて座ると、バスケットを広げた。
「さあ! お待ちかねの食事の時間だ!! ワインもちゃんと持ってきておりますよ」
と、いつの間にかバスケットの中に入れておいたのか、ワインとカップを取り出してソニアを驚かせた。
「私ったらもうお嫁に行く歳なのに……。全然、淑女らしくないですよね……恥ずかしいです」
「良いんじゃないですか。人それぞれですよ。あまりに消極的で人見知りがあっても、主人がいない間の城の切り盛りで不都合が出ますし。恐れないで楽しいことや嬉しいことに変換して前へ進んでいけることは、きっとこれから先、姫君にとても大切なことになりましょう」
ふと、クリスの手がソニアの手から離れた。
「――ほら! あそこをご覧なさい」
指を指す方向を見て、ソニアは歓声を上げた。
なだらかな丘を上がった先に、白い花の群生が一面を覆っていたのだ。
「白爪草だと思いますが……。見事なので是非姫君にも見せたいと思いましてね」
「綺麗! とても素晴らしいわ! クリス様、ありがとうございます!」
クリスはピョンピョンと跳ねて行きそうな勢いのソニアに微笑み、白爪草の花畑に連れて行く。
その場に着くとクリスはマントを外し、下に敷いた。
「さあ、お座りください」
その淀みない様子に、ソニアは一瞬ポカンとしてすぐに頬を染めた。
「あ、ありがとうございます」
いえ、と微笑むクリスが今はやけに眩しく見える。
――これで髭さえなければ。ううん、髭があっても……。
とソニアは思う。
クリスもソニアから少し間を空けて座ると、バスケットを広げた。
「さあ! お待ちかねの食事の時間だ!! ワインもちゃんと持ってきておりますよ」
と、いつの間にかバスケットの中に入れておいたのか、ワインとカップを取り出してソニアを驚かせた。