呪われ姫と強運の髭騎士
証拠に『良い子良い子』と言わんばかりに、クリスに頭を撫でられているソニアだ。
 
大人に見られなくてちょっとムッとするが、どちらかと言えば、くすぐったいような嬉しいような気持ちが沸き上がっている。

「他にロザリオはお持ちですかな?」
「はい、シスターから頂いた物が……」

とソニアは手荷物を探り、ロザリオの入った小箱を出してクリスの前で恐々開ける。
 
――これも炭化していたら
 
そう思うと手が震えた。

「私が開けましょう」
 
ソニアの様子にクリスが察し、小箱を受けとると、そうっと、大事そうに開ける。
 
二人、小箱の中を覗いてホッとした。
 
白い絹に包まれた ロザリオは神々しい白金の光を放っていた。

「無事ですよ」
「はい」
 
今度は嬉しさに涙を浮かべるソニアに、クリスは箱からロザリオを取り出し、彼女の首にかけてやる。
< 54 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop