呪われ姫と強運の髭騎士
 想像する。
 
 服を脱いだら、クリスの厚くて固い胸にモジャモジャとあれ放題の畑の如く胸毛が……。
 
 自分の肌に触れると剛毛でチクチクと刺さって、いや、ゴワゴワと……

「痛い……痛いわ、いたたたた」
 
 想像するだけで痛くなってしまう。

「? 刺でもありましたか?」
「えっ?」
「痛い痛いと先程から……」
 
 クリスに言われ、つい口から思っていることがただ漏れしていると分かりソニアは
「いえ、大したことありませんわ」
と作り笑いを向けた。
 
 ――それどころか、思っていないことまで口から出るなんて

(どうなってしまってるんだろう? 私の身体……)
 
 一度、お医者様に診ていただいた方がいいのかしらと、悩みに頭を巡らす。

「姫君」
 
 隣にいるクリスがソニアに声を掛ける。

「結婚のことなのですが」
 

 ――きた!
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