呪われ姫と強運の髭騎士
司祭が亡くなったくらいで、普通は礼拝堂を新しく造り直したりしない。
「開けても宜しいかな? 中を確認したいのです」
それは構いません、とソニアは頷く。
実は自分もこの礼拝堂の中に入ったことはない。
幼い頃に兄と探検ごっこの際に、この中へ入ろうとする前に見付かって、両親に酷く叱られてから入る気が失せてしまったのだ。
母はさめざめと泣き続けるし、父は烈火のごとく自分と兄を叱り続けるし――それが深夜までされたら、流石にあの礼拝堂に入ったら危険なんだと幼かったソニアでも理解できた。
――思い出して今更ながらに不安にかられる。
「……入っても大丈夫でしょうか? 老朽して天井が落ちてきたりしたら……」
「中を覗いて、危険なようなら入りませんからご安心を」
そう答えながらクリスは太い閂を抜く。
「開けても宜しいかな? 中を確認したいのです」
それは構いません、とソニアは頷く。
実は自分もこの礼拝堂の中に入ったことはない。
幼い頃に兄と探検ごっこの際に、この中へ入ろうとする前に見付かって、両親に酷く叱られてから入る気が失せてしまったのだ。
母はさめざめと泣き続けるし、父は烈火のごとく自分と兄を叱り続けるし――それが深夜までされたら、流石にあの礼拝堂に入ったら危険なんだと幼かったソニアでも理解できた。
――思い出して今更ながらに不安にかられる。
「……入っても大丈夫でしょうか? 老朽して天井が落ちてきたりしたら……」
「中を覗いて、危険なようなら入りませんからご安心を」
そう答えながらクリスは太い閂を抜く。