呪われ姫と強運の髭騎士
(3)
二週間後――ソニアの今朝のお務めは神への祈り以外、全て免除された。
昨夜までにソニアの元に届けられた荷物――最新物のデザインで仕立てられた最高級品の生地のドレス。
それに合わせられた髪飾りに、首元を飾るネックレス。
ドレスの裾に隠れるとはいえ、手を抜くことは出来ない靴は、ソニアにあつらえたようにピッタリだ。
それが何組も揃って用意されていて、出発の朝には支度を手伝いに来たという侍女まで派遣されてきた。
「あの……まず、私の実家であるクレア城に行く予定だと伺っているのですけど……」
やって来た侍女に尋ねる。
一度城に戻り、保管してあるドレスや宝石を手直しして、それから王宮に出向くのだと思っていたソニアは、次から次へと贈られてくる衣装や装飾品に虚をつかれる。
侍女の一人が、恭しくソニアに頭を下げ口を開いた。
「はい、そのように伺っております。しかしながらここに送られた物は、全てソニア様のご婚約者様からのお気持ちにございます。『どうぞ、お好きな物をお選びになってお召しください』とのことです」
「……これ全部……?」
よく見れば、ドレスも靴も髪飾りも全て趣向が違う。
例えばドレスだけ見ても、艶やかな大人を連想させる赤を基調としたデザインのもの。
かと思えば、隣のドレスは薄桃色のヒダとレースがふんだんに使われた、可愛らしさを強調したデザイン。
それぞれデザインが違うのだ。
「何でも、ソニア様のご趣味が分からないので一通りお送りしたそうです」
「……」
そうだとしても、限度があるんじゃないかしら?
と、ソニアはこめかみをおさえた。
今のソニアとパメラの部屋は、贈り物で床が見えない状態なのだから。
それでも
「どうか最高の笑顔と最高の姿で、出迎えて欲しいとの言付けも承っております」
そう言われると嬉しさに胸が疼いてしまう。
(セヴラン様ったら……)
「分かりました。でも、さすがにこんなに沢山あると、どれを選んだら良いのか悩んでしまいます。一緒に選んでもらっても良いかしら?」
「喜んで。私共も楽しゅうございます」
侍女達もにこりと笑って承諾した。
昨夜までにソニアの元に届けられた荷物――最新物のデザインで仕立てられた最高級品の生地のドレス。
それに合わせられた髪飾りに、首元を飾るネックレス。
ドレスの裾に隠れるとはいえ、手を抜くことは出来ない靴は、ソニアにあつらえたようにピッタリだ。
それが何組も揃って用意されていて、出発の朝には支度を手伝いに来たという侍女まで派遣されてきた。
「あの……まず、私の実家であるクレア城に行く予定だと伺っているのですけど……」
やって来た侍女に尋ねる。
一度城に戻り、保管してあるドレスや宝石を手直しして、それから王宮に出向くのだと思っていたソニアは、次から次へと贈られてくる衣装や装飾品に虚をつかれる。
侍女の一人が、恭しくソニアに頭を下げ口を開いた。
「はい、そのように伺っております。しかしながらここに送られた物は、全てソニア様のご婚約者様からのお気持ちにございます。『どうぞ、お好きな物をお選びになってお召しください』とのことです」
「……これ全部……?」
よく見れば、ドレスも靴も髪飾りも全て趣向が違う。
例えばドレスだけ見ても、艶やかな大人を連想させる赤を基調としたデザインのもの。
かと思えば、隣のドレスは薄桃色のヒダとレースがふんだんに使われた、可愛らしさを強調したデザイン。
それぞれデザインが違うのだ。
「何でも、ソニア様のご趣味が分からないので一通りお送りしたそうです」
「……」
そうだとしても、限度があるんじゃないかしら?
と、ソニアはこめかみをおさえた。
今のソニアとパメラの部屋は、贈り物で床が見えない状態なのだから。
それでも
「どうか最高の笑顔と最高の姿で、出迎えて欲しいとの言付けも承っております」
そう言われると嬉しさに胸が疼いてしまう。
(セヴラン様ったら……)
「分かりました。でも、さすがにこんなに沢山あると、どれを選んだら良いのか悩んでしまいます。一緒に選んでもらっても良いかしら?」
「喜んで。私共も楽しゅうございます」
侍女達もにこりと笑って承諾した。