たんぽぽの花束を君に

「星夜も花純の気持ちわかってんだろ?」
「…たぶん。」

たぶんじゃない。絶対わかってる。
イヤ、俺は知ってる。
星夜の気持ちも、花純の気持ちも…


下校する生徒の中を涼と一緒に歩きながら職員室に向かう俺と涼。
なんだかんだ優しい涼なんだよな。


「なぁ、涼」
「なに?」




「華…覚えてる?」

「え?」







俺は涼の気持ちにも気づいてしまったようだ…
『華』
と言う名前を言った瞬間の涼の顔。




「…懐かしいな、その名前」

「今日、華…てか昔、涼とか5人で遊んでた時の夢みて…」

「花純が言ってた悲しい顔って、華の事だったんだな」




俺は言葉を出さずに頷く。

「…華、今頃何してんだろーな。」
涼がうつむきながら話す言葉のリズムが
俺の心には痛かった。


「てか…今生きてるのかもわかんねーじゃん。」




そう、
華が今何してるのかも、
生きているのかも、
わからないんだ。









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