反逆の騎士長様
と、次の瞬間。
私の脳裏に、記憶と共にガルガルの声が響いた。
“何十年か前に小鳥達が運んできた宝石ガル
お礼とお詫びに、それをあげるガル。”
「あーっ!!!!」
「ぎゃぁっ!!」
私が大声を出した瞬間、隣のラントがつられて声を上げる。
「お、お前、急に大声出すなよっ!」
「ねぇ、ラント!思い出した!!」
「話聞けよ…!」
私は、眉を寄せるラントに早口で言う。
「私、この女神像のもう片方の瞳を持っているかもしれないわ!」
「…あ?お前が盗んでたのかよ?」
「違う!!」
私は、ラントの服をばっ!と掴んで言葉を続けた。
「ガルガルに貰った宝石が、この女神像の瞳だったかもしれないの!
部屋に置いてある鞄に入ってるはず…!」
「お、おい?!引っ張るなっ!」
私は、ラントを連れて奥の部屋へと駆け出したのだった。
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《ロッドside》
「…ふぅ…。」
小さく息を吐くと、冷たい空気が自然と肺の中へと入ってくる。
…何をやっているんだ、俺は。
バルコニーの柵にもたれかかるようにして、顔を伏せる。
…よりにもよって、アルトラと姫さんの大事なシーンで邪魔に入るだなんて、どうかしてる。
挙げ句の果てに、抱き締めて…
“…アルトラの嫁になるのか…?”
…口が滑った。
ぐっ、と眉を寄せたその時
キィ…、とバルコニーの扉が開く音がした。
背後を振り向くと、そこには琥珀色の髪の青年の姿。
「どう?呪いは解けた?」
「アルトラ……。」