反逆の騎士長様


すると、ロッド様に続くようにして、アルが宝石を手に持ったまま女神像へと歩み寄った。



「“女神の瞳に輝き戻りし時、光への道開かれん”。

つまり、この片目が“鍵代わり”ってことだ」



私とラントが、はっ!とした瞬間

アルが翡翠の宝石を女神像の片目へとはめ込んだ。



…ガコン!



次の瞬間、大きな音がしてガタガタと城が揺れ始める。


ゴ、ゴ、ゴ、と歯車のようなものが噛み合う音が聞こえて来た。



「な、何だ…?!」



ラントが辺りを見回しながらそう言った、その時。


突然、女神像の前の床が、壁に吸い込まれるように動き出した。


咄嗟に、ロッド様が床の上に立っていたラントを抱き上げる。


思わず言葉を失っていると、数秒後。

ゴゥンという低く響く音と共に、女神像の目の前に床に地下へと伸びる階段が現れた。


…!!


まさか、これが荒れ地へと通じる隠し通路…?!



城の豪華な内装とは真逆の、石造りの壁が剥き出しの階段。


それはどこか不気味で、まるで“地獄”への道のようだった。



「まさか、ガルガルから貰った宝石がこんな所で役立つとはな。

ついに、最終決戦って思うと体がたぎるぜ…!」



興奮気味にそう言ったラントを、ロッド様は床に降ろして言った。



「道が開けたからといって焦るのは危険だ。夜の闇の中、敵地で戦うのは分が悪い。

この城で一晩明かして、日が出てから先に進もう。」



私達は、ロッド様の言葉に頷いた。



…明日の朝。

城を出た先に、王様達がいる…!



ロッド様は、胸元の痣に手を当てながら険しい顔をしている。



…そうだ。


ジャナル大臣との決着がつけば、ロッド様の呪いも解けるんだ。



「よし、じゃあみんな、明日の朝八時にここに集まろう。

武器の手入れも怠らないように。」



アルの言葉に、ロッド様とラントが頷き、彼らは剣を片手に部屋へと戻っていく。


その時、アルが私に向かって声をかけた。



「セーヌさん。」



「!はい!」



アルが、私の目の前に来る。


急に、女神像騒動でうやむやになっていた、“玉座での出来事”が頭の中にフラッシュバックした。



…ここに来た時、アルとロッド様は同時だった。


もしかして、二人で何かを話していたの…?


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