反逆の騎士長様


ラントが、ロッド様に無言で羨望の眼差しを向けている中、私達は扉の先へと足を踏み入れた。


中は、少しひんやりとしていて、真っ暗だ。



…ここは、一体…?



すると、次の瞬間だった。


突然、ロッド様の持つランプの光によって、何かの影が床に映し出された。



「っ!」



咄嗟に、ロッド様は剣を抜いて身構える。


一瞬にして空気が張り詰めたその時、アルがランプに照らされたモノに目を見開いて呟いた。



「…鎧……?」



…!



アルの言葉に、私は目の前に現れたものを改めてよく見つめる。


すると、それは一着の銀の鎧だった。

腰にはしっかり剣まで下げている。


ふっ、と緊張を解いて剣を収めたロッド様は、ゆっくりとランプで辺りを見回す。


すると、その光に照らされたのは、無数にならぶ鎧達だった。


数え切れないほど並ぶ鎧に、私は息を呑む。



「…ここは武器庫か…?」



ラントが、近くの鎧を見つめながら呟いた。


それに続くようにして、アルが何かを察したように目を細めながら口を開く。



「どうりで、錆臭いはずだ。鉄の匂いに混じって、床に血がこびり付いてる。

さしずめ、入り口の女神像は“勝利の象徴”
ってとこかな。」



…“勝利の象徴”。

そっか、勝利の女神、なんて言うものね。



その時、ロッド様が何かに気が付いたように眉をひそめた。



「ロッド団長、どうされたんですか?」



そう尋ねたラントに、ロッド様は低く答える。



「…床に残されている足跡が、“真新しい”。

最近、ここに出入りした者が俺達の他にいるという証拠だ。」



え…?


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