反逆の騎士長様


と、次の瞬間。

倒れていた騎士達が、ガシャン!と立ち上がった。


赤く光る瞳が、私たちを睨みつける。



ロッド様とアルが、さっ!と戦闘態勢に入った。


緊張が走った瞬間、クロウが私に向かって早口で言う。



「ぐずぐずしてる暇はないぞ。

俺を信用するもしないもあんたの勝手だがな。」



…!



確かに、迷っている暇はない。


私は、覚悟を決めて彼の手を握り返す。



「…信じるわ。

クロウ。私を地下牢まで連れて行って…!」



その言葉に、クロウは無言で頷いた。


ロッド様とアルも、騎士達を警戒しながらこちらに合図を送っている。



“今のうちに、早く行け”



彼らの思いを受け取り、私はラントの方を向いた。



「行こう、ラント!

王様達を探し出さなきゃ!」



するとその時、クロウが私達に向かって尋ねた。



「なぁ、そっちの“騎士長”も、ジャナルに呪いをかけられているんだよな?」



え…?



「あぁ、そうだ。

ハゲをぶっ飛ばさないと、消えない呪いらしい。」



クロウにそう答えたラントに、クロウは険しい顔をしながら言った。



「おそらく、ジャナルの魔力を奪うだけでは、騎士長の呪いは解けない。

ジャナルは、城の礼拝室に自身の呪いの源となる水晶を隠しているんだ。」



…!



じゃあ、その水晶を壊さない限り、ロッド様の呪いは解けないってこと…?!



私達の会話を聞いていたロッド様とアルが顔をしかめた。


鎧の騎士達が今にも飛びかかってきそうなその時、ラントが覚悟を決めたように言い放った。



「それなら、俺が礼拝室に向かって、水晶を叩き割る!

ロッド団長とアルトラ王子がジャナルと戦う以上、俺しか空きがねぇ。」







ラントが、クロウをじっ、と見つめながら尋ねた。



「お前に、セーヌを預けてもいいんだよな」



クロウは、真剣な瞳をした。


そして、彼はラントに向かってはっきり答える。



「不死身のこの体を、こいつを守るためだけに使うと誓う。

…騎士長の名にかけて。」


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