反逆の騎士長様
騎士長様は姫さんに告げる
《ロッドside》
タッタッタッ!
剣を片手に城の廊下を走る。
鎧の騎士が、背後から追いかけてくる足音は途切れることがない。
…一体いくつ斬り倒したか分からないな。
するとその時、不意に城の空気が変わったのを感じた。
「…っ!」
ズキリ、と胸が痛み始める。
走りながら、ちらり、と胸元を覗くと、呪いの痣が少しずつ広がっているのが見えた。
…城内に、ジャナルの魔力が立ち込め始めている。
鎧の騎士達に何かの魔法をかけたのか…?
急に止んだ鋼の足音に、俺は嫌な胸騒ぎを感じた。
足を止めずに背後を振り返ると、先程まで近くに迫っていたはずの鎧の軍団が見えない。
進行方向を変えたようだ。
…まさか、俺ではない誰かを集中的に仕留めるつもりか…?
騎士達に狙われているのは、姫さんじゃないだろうな…。
言いようの無い焦りを感じ、俺はさらに速度を上げて走り出した。
玉座に向かう廊下は、俺の足音しか聞こえない。
だんだんと空気が薄くなるような感覚に、つい顔をしかめた。
すると次の瞬間、窓の外から大きな音が聞こえた。
ドォン!!
…!
何だ…?!
俺は窓から身を乗り出し、下へと視線を向けた。
すると、窓から少し離れたところに、城の庭の近くに立つ塔があるのが見えた。
そして、その塔に続くレンガ造りの通路の上にいたのは、鎧の騎士達に囲まれ、今にも襲われそうになっているアルトラの姿だった。
!
タン!
考えるより先に、体が動いていた。
三階の窓から飛び降り、城の二階から塔へと続くレンガ造りの通路へ着地する。
「アルトラ!魔力で防御しろ!」
「っ!ロッド…?!」