反逆の騎士長様



「待っててくださいね!

今、牢を壊しますから…!」



私の言葉に、王妃様は目を見開いた。


ぐっ、と牢の柵を握りしめると、柵は錆びれていて、どうにか蹴破れそうだ。


私は、柵を握りしめる手に力を込めた。



パァッ!



牢に張ってあったジャナル大臣の魔法陣が、浄化されていく。



…よし、これでいける…!



私は、王妃様の牢からじりじりと距離を取りながら声をかけた。



「危ないですから、下がっていてくださいね」



「!えぇ…!」



私は、すぅっ、と息を吸い込んで、頭の中にロッド様の姿を思い浮かべる。



…クロウの城の武器庫の扉を蹴破ったロッド様のように、上手く助走をつければ…!



私は、タン!と地面を蹴って、牢の柵を思いっきり蹴破った。



ガシャン!!!



大きな音と共に、錆び付いた鉄格子が倒れる。



「さぁ、行きましょう!」



私の言葉に、王妃様は大きく頷いて私の手を取った。


足場の悪い薄暗い道を走り出す。


幸いにも、騎士達が追ってくる足音は聞こえない。


私は、走りながら王妃様に尋ねる。



「あの、王様はどこの牢屋に囚われているのかご存知ですか…?」



「ごめんなさい。

気が付いたら一人であの牢に入れられていたので、意識を失った後のことは分からないのですわ。」



王妃様はそう答えたものの、はっ!と何かに気がついたように足を止めた。


彼女は、私の顔を見ながら続ける。



「闇雲に探すよりも、私の魔法で夫の居場所を見つけられるかもしれませんわ。

敵を見つけるための魔法で、半径1キロメートル以内の景色を映し出してみましょう」


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