反逆の騎士長様
だんだん、アルトラの声も遠ざかっていく。
…ここまで…、か。
そう心の中で呟いた、次の瞬間だった。
ブワッ!!
「「「!」」」
玉座の窓に、翠の光が広がった。
城全体を包むようなその魔力に、その場にいた全員が目を見開く。
…この感じ…
まさか………!
「!王の魔力…?!一体、何故……!」
ジャナルが、動揺したように声を上げた。
「最上階の隠し通路も塞いだはずなのに…!
地下牢の魔法陣まで破られたのか…?!」
一気に顔が青ざめたジャナルに、俺は確信する。
この魔力は、紛れもなく王のものだ。
ということは、姫さんが呪いを解いたってことか…!
顔を上げると、目が合ったアルトラが、俺に力強く頷いた。
彼女の姿が、脳裏をよぎる。
きっと、また自分を犠牲にしてボロボロになっているに違いない。
俺の目の前に現れた時もそうだった。
俺の目には、その姿がとても美しく見えたんだ。
「……たまるか……」
「え?」
俺の呟きに、アルトラが小さく聞き返した。
俺は、大きく息を吸い込んで声を上げる。
「こんなとこで、終わってたまるか!」
俺の声が玉座に響いた瞬間、俺の周りに、ポゥッと光が灯った。
温かな光が、俺の体を包んでいく。
!
な、何だ…?!
その時、アルトラが俺の顔を見つめて、
はっ!とした。
「痣が消えていく…!」
…っ!
彼の言葉に、俺は急いで自分の腕へと視線を向ける。
すると、先ほどまで全身に広がっていたはずの呪いの痣が、みるみるうちに消えていった。
姫さんに触れていた時のような、苦しみが浄化される感覚が体を包む。
呪いが……解けていく……!