反逆の騎士長様
「…もういいぞ。」
彼の声に顔を上げると、私の頭の上にあるのは、シロツメクサの花冠。
「…これ…枯れたはずなのに…」
「実は、王にに魔力を分けてもらったんだ。
この花は、ずっと枯れない。」
…!
ロッド様は、私に向かって小さく尋ねる。
「…シロツメクサの花言葉、言ったよな?」
どくん、と胸が大きく鳴った。
今、尋ねられているのは“幸福”でも、“約束”でも、“復讐”でもない。
小さく頷いた私に、ロッド様は囁いた。
「…俺のものになってくれるか?セーヌ。」
彼の瞳には、今まで見たことのない熱が宿っていた。
色香を帯びたその視線に、私は目が離せない。
私は、彼の手を握り返しながら頷いた。
「えぇ、もちろん。
今さら“故郷に帰る”なんて言いません。ずっと貴方に、ついて行きます…!」
その言葉は、私がロッド様と旅に出ると決めた日の言葉と同じようで、少し違う。
ロッド様は、あの時のように優しく微笑んだ。
真正面から見た彼の笑顔は、思っていたよりも破戒力が凄まじい。
「…ロッド様、また笑いましたね。」
「?俺は今笑っていたのか?」
「また気がついてなかったんですか?」
くすくすと笑う私に、ロッド様は少しむっとした。
私が「笑ったのは、バカにしたわけじゃないですよ。」と釈明すると、ロッド様は低い声で私に答える。
「…そこじゃない。」
「え?」