反逆の騎士長様



「…っ!」



あまりの眩しさに、私は目を閉じてロッド様の背中にしがみついた。


轟々と、風が吹き荒れる。



と、次の瞬間

しぃん、と一瞬のうちに何も音がしなくなった。



え…?



ぱちり、と目を開け辺りを見ると、そこには呆然とした様子で立ち尽くす騎士達の姿。


中には、膝を地面についている者や、倒れこんでいる者もいる。



…一体、何が起こったの…?



その時、ロッド様が、するり、と私の手から指を離した。


はっ、として彼を見上げると、ロッド様は、少し荒い呼吸をしている。

ラントが、ロッド様に向かって尋ねた。



「団長。一体何の魔法をかけたんです…?」



すると、ロッド様は騎士達を見つめながら、低く答えた。



「奴らの魔力を一時的に全て奪ったんだ。

俺たちがこの城を出るまでこの魔法は解けない。」







“魔力を一時的に全て奪った”…?!


この場にいる全員に魔法をかけたってこと?



確かに、一時的なら国の防衛力に何も影響はないだろうけど…

そんなことが出来るなんて…!



ラントが、城を見つめながら呟く。



「ジャナルとクロウは団長の魔法に巻き込まれる前に逃げたみたいだな。」



…!



私は、それを聞いて城のバルコニーへと視線を移した。


先ほどまでいたはずの髭面の男性の姿がない。



…悪役は逃げ足だけは早いって、本当だったのね。



すると、ロッド様が私の手を繋いだまま、力強く言い放った。



「さぁ、行くぞ。このまま城の門を抜ける」







「「はい!」」



私とラントは、声を揃えて返事をした。


城のてっぺんで、ノクトラームの旗が風に吹かれてはためく。



…ここに戻ってくる時。

それはこの国の危機を救った後。


それまでは、この門をくぐることも、母国の土を踏むこともない。


隣に、ロッド様とラントがいれば、怖いものなんて一つもない。



…こうして私は、ロッド様に導かれるまま、“ノクトラームへの反逆者”達と共に一歩を踏み出したのです。



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