反逆の騎士長様
第4章*in廃墟の古城
騎士長様に怖いものはない
「随分、城から離れた所まで来ましたね。」
港町を発ち、草原を進む私達。
ラントの言葉に、ロッド様は地図を広げながら答えた。
「あぁ、そうだな。
もう荒れ地は目の前だ。」
!
もう、国の外れまで来ていたんだ…!
確かに、旅を始めてから結構な時間か経った。
もう、ノクトラームの城は姿さえ見えない。
その時、アルが苦笑しながら口を開いた。
「でも、大変なのはこれからさ。
荒れ地に近づく方法を見つけなくてはいけないからね。」
え…?
私がきょとん、とすると、ロッド様が私に地図を見せながらアルに続けた。
「荒れ地に行くには、関所を通らないといけないんだ。
だが、恐らくジャナルによって俺たちはそこで足止めされる。」
…!
確かに、国の政治を取り仕切る大臣なら、関所で私達の通行を規制することなんて簡単なことだ。
「関所を通る以外に道はないんですか?」
私の言葉に、ロッド様は地図を見つめて答える。
「荒れ地の周りは切り立った崖や高山に囲まれていてな。
関所を避けるとなると、山を登るのに一ヶ月はかかる。」
い、一ヶ月も…?!
今の私達に、悠長に山登りをしている時間なんてない。
すると、アルが前を向きながらさらり、と言った。
「…でも、一つだけならあるんだ。
関所を避け、なおかつ最短距離で荒れ地に向かう方法が。」
「えっ!」
アルは意味深に笑みを浮かべながら呟いた。
「まぁ、うまく通れるか分からないんだけどね」
…?
どういうこと…?
一度立ち止まった私達は、ロッド様の持つ地図を覗き込んだ。
アルが“一点”を指しながら口を開く。
「ここが大体の現在地。この先、道なりに歩いて丘を越えると、荒れ地の一歩手前に“城”が見えるんだ。
もしかしたら、そこに荒れ地に通じる“隠し通路”が存在するかもしれない。」
“城”…?
ノクトラームの領地に、他のお城があるの?
「城なんてどこにあるんだ?
地図に載ってないよな?」
ラントの言葉に、アルは眉を寄せて答える。
「そこは、“人々から忘れ去られた城”だからね。城主のいない古城は、今では廃墟だ。
ここの土地は数十年前にノクトラームの領地になるまでは隣国扱いだったんだよ。」