キミのトナリ
1.まえがき
「これ、帰ったら読んで」
いつもは”俺の著した物は読まないでほしい”と言っている彼が珍しく私に手渡したのは一冊の文庫本だった。
ベッドに入ってから、数時間前に受け取ったそれをバッグから取り出す。
タイトルは『君の隣』。
男女の後ろ姿が描かれたきれいなイラストの表紙をめくった。
これって……。
読み進めると、ある男性の日記をもとに綴られた恋愛小説だとわかった。
そして、その主人公の恋人だった女性、それは紛れもなく私だった。
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