誰にも言えない秘密の結婚



段ボール箱の中身を片付けてると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。



「はい……」


「吉田?開けていい?」


「あ、はい!」



ドアを開けた藤原さんが部屋に入って来る。



「ちょっと休憩したら?」


「あ、そ、そうですね」



私は片付けをしていた手を止めてそう言った。



「あ、あの……ドア……」


「ドア?」


「ここは、藤原さんのお家だから、ノックしないで大丈夫、です……」


「でもここは吉田の部屋だろ?」


「そうですけど……」


「ここがいくら俺の家でも、この部屋は吉田のプライベート空間だからね」


「そ、そうですね……」



私はそう言って苦笑いをした。



「うん。リビングで待ってるからね」



藤原さんはそう言って部屋を出て行った。




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