誰にも言えない秘密の結婚



リビングに行くと、藤原さんはソファに座ってスマホをいじっていた。



「あの、お茶でも淹れましょうか?」



そう言ってみたものの、まだキッチンを使ったことないから何がどこにあるのか全く知らない。



「俺が淹れるから、吉田は座ってて?」


「はい」



ここは素直に藤原さんの言葉に従うしかない。


藤原さんと入れ替わるようにソファに座った。



「コーヒー飲めたよ、ね?」


「はい」



しばらくしてケトルの水が沸く音がして、リビングにコーヒーの香りが充満していく。


トレイを持った藤原さんがリビングに帰って来た。


オフホワイトのオシャレなコーヒーカップ。


それとお揃いのシュガーポットとミルクピッチャー。


私が使っていた景品でもらったマグカップとは大違い。


私は砂糖とミルクを入れて、スプーンでコーヒーをクルクルかき混ぜた。





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