誰にも言えない秘密の結婚




「あの、藤原さん?」


「ん?」


「晩ご飯、どうしましょうか?」



もうそろそろ晩ご飯の準備をしなきゃいけない時間だ。


冷蔵庫の中をまだ確認したわけじゃないけど、確認してから足りないものとか買い物に行かなきゃいけない。



「吉田のご飯を食べたいのもあるけど、実はさっき空翔から電話があって……」


「仕事、ですか?」


「いや、違う違う。空翔がね、結婚祝いしてやるって。晩ご飯を奢ってくれるらしいよ?」



仕事じゃないと聞いて安心した私がいた。


同じ職場で藤原さんの仕事がどんなに忙しく大変か理解してるつもりだったけど、もし仕事だと言われたら寂しいと思ったから……。



「俺が仕事行ったら寂しい?」


「あ、いや、えっと……その……」



私はコクリと頷いた。



「今日は仕事に行かないからね」



藤原さんはそう言って、私の頭を撫でた。


勘違いしたらダメだとわかっていても、藤原さんの言葉や仕草、行動で勘違いしそうな自分がいる。




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