誰にも言えない秘密の結婚



部屋の中にパソコンのキーボードを打つ音だけが聞こえる。



「ねぇ、明?」



キーボードを打ちながら拓海さんが話しかけてきた。



「はい」


「仕事、辞めてもいいんだよ?」


「えっ?」


「辛いなら辞めてもいいんだよ?」


「大丈夫、です……」


「無理してない?」


「はい」


「明がそう言うなら……。でも嘘だけはつかないでね?本当に辛くなったら言うんだよ?」


「はい」



キーボードを打つパチパチと鳴ってる音が、まるで子守唄のように聞こえて、眠気に襲われる。


ゆっくり目を閉じていく……。


私の記憶はそこで途絶えた。




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