誰にも言えない秘密の結婚



私はベッドから身体を起こした。



「大丈夫?」


「はい。少し気怠さは残ってるけど、頭痛も無くなって、だいぶ良くなりました」


「良かった」



拓海さんの顔が笑顔になる。


その時、お腹が“キュルキュル”鳴った。


静かな部屋にそれが響く。


恥ずかしくて慌ててお腹を抑える私。


だけど、部屋に響いた音は当然、拓海さんの耳にも聞こえていて、拓海さんはクスクスと笑いだした。



「お腹、空いた?」



私はコクリと頷く。



「昨日から何も食べてないもんね」


「はい……。拓海さんもお腹空きました?」


「そうだね」


「じゃあ、何か作りましょうか?」


「ホント?って言いたいとこだけど、俺が何か作るから明は寝てればいいよ」



拓海さんはそう言って、パソコンを閉じると立ち上がった。



「その代わり、簡単なものしか作れないけどね」



拓海さんはそう言って、頭をポンポンとすると部屋から出て行った。


拓海さんが作るご飯を食べるのって初めてだ。


何を作ってくれるんだろう。






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