誰にも言えない秘密の結婚
家出をして5日が経った。
拓海さんは毎日のように実家に来たけど、会う気にはなれず……。
電話もメールも返すことも出来なかった。
両親も何も言わず、聞いてくることもしないで、普通に振舞ってくれる。
夜、晩ご飯を食べて、リビングのソファでゴロゴロしていると、玄関のチャイムが鳴った。
ドクリと胸が跳ね上がる。
拓海さんだったら、どうしよう……。
お母さんが玄関に行く。
インターフォンで対応すればいいのに。
そんなことを思ってると、リビングにお母さんが戻って来た。
「明?水原さんって方が明に用があるっていらっしゃったけど……」
「えっ?社長が?」
両親が驚いた顔をしている。
そりゃあ、会社の社長が来たと知ったら驚くよね……。
私は慌ててソファから起き上がり、玄関に行った。
「明ちゃん、久しぶりだね……」
「社長……なんで……」
「ちょっと外に出れない?」
私は社長の言葉にコクンと頷く。
サンダルを履き、社長と一緒に外に出た。