ミツバチのアンモラル
 
 
 
 
「キモい。ヤバい。面倒みきれん。この意気地無しがっ」


「うぅ……」


「あんたはいくつだ」


「二十四になりました」


「圭くんはいくつだ。……ちょっと、最近の姿撮ってないの?」


「三十路に突入だと、机に長時間向かうのは厳しいと腰を叩きながら嘆いていました。――その姿も良かった~。あっ、それは撮ってないけど他のならあるよ」


「おっさんかっ!! ……ていうか、相変わらずいい男だわ、圭くん」


「でしょうとも」


「あんたが誇りに思うなっ」


所詮妹風情がっ、なんてズバリと貶されれば、もうごめんなさい申し訳ありませんと項垂れるしかない。
はっきりと指摘してくれるこの友達が、けれど誰よりも優しくて思いやりのある人間だと知っているけど。


ひとり缶酎ハイからの翌日の土曜日、大学卒業と同時に結婚して引っ越した親友の優花の家に遊びに来ている。
旦那さまは百貨店勤務なので、週末は休みになることはほとんどない。というか、申請しない限りないのではないか。
現在妊娠中の優花は、最近まで安静を言い渡されていたのだけどようやくそれも解除され、安定期に突入した。まだまだ気を抜いていい訳ではないけれど、本当に良かった。


私の相談を聞きながら、お土産のフルーツゼリーを二種類食べたところで、元気いっぱいに優花は怒った。それは相談ではなくただの愚痴だと。
そうして、お説教が始まったのだ。


優花も結婚前は私の家の近所に住んでいた。圭くんのことも知っているし、私とお隣さんほどの関係ではないけど、優花も圭くん兄弟とは仲良くしていた。
なので、事細かに内情は理解されている。


「ていうか、往来で抱き合ってんだから、もう付き合ってるも同義なんじゃないの?」


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