神様の涙
第一章 砂漠の国
「わぁ…見て、スターチス。
 素敵ねぇ…なんて綺麗なのかしら…」

「あー………うん、まぁそうだな。」

一面砂しかない風景を眺めながら適当に相槌をうった。ぶっちゃけ、こんな暑いだけの砂漠、綺麗でもなんでもない。そしてこの砂漠の車ともいえるラクダも乗り心地が良いとは言い難い。…が、この幼馴染、
ポプラを怒らせるととんでも無く恐ろしい事になるので話を適当に合わせておく。触らぬ神に祟りなし。

「…。ねぇ、スターチス?
 その、もし私に気を遣ってるなら
 やめてもらえる?確かに彼と別れて傷心中だけど
 アンタに気を遣われるほど落ちぶれて
 いないわ。」

延々と続く砂漠をボーっと眺めていた俺にまさかのカミングアウト。

「…は?…ってか、お前、彼氏いたのかよ!?
 しかも振られたとか…」

幼馴染の突然のカミングアウトに驚きつい思った事を素直に口走ってしまった。あ、しまった!!!
ハッとしたその瞬間…


バシィィィィィンッッッ!!!!!


首がもげるかと思うほどの衝撃。左頬が燃えるように熱い。口の中、切った…

「失礼ね。彼氏くらい居たわよ!
 しかも、振られたんじゃなくて、振ったの。
 そこ、間違えないでよね!!」

ぷりぷりと怒る声からあまり本格的には怒っていないかも…と淡い期待を抱き、痛みに悶えながらポプラに目をやると鬼の形相でこちらを睨む幼馴染の姿。…やばい、殺される…………メッチャキレてる…………
そう、俺の幼馴染、ポプラは物凄く短気な怪力女です…………………

旅はまだ始まったばかりなのに俺は不運にも幼馴染の手によって息の根を止められるのか…と自分の運命を悟ったその時!!ブワッと大きな風が吹き抜け、それと同時にヒラヒラと1枚の紙切れがポプラの膝に落ちた。

「んー?“力自慢大会”?
 ちょっとスターチス、いつまでも項垂れてないで
 これ見てよ。」

項垂れる原因を作った本人に促され渡された紙を見る。


『砂漠の国 力自慢大会 本日開催!!

 よってらっしゃい、みてらっしゃい!!

 集え!!我こそは!!と思う者達よ!!

 開催場所:砂漠の国 ふれあい広場

 開催時刻:13時

 優勝商品:賞金1000万、火山の村への地図』


「………!!!火山の村への地図!!!」

賞金1000万ももちろん欲しいが、火山の村への地図!!コレは絶対に手に入れたい!!
なぜなら、火山の村は辿り着くのが困難だとされている謎に包まれた土地なのだ。それ故、俺の村にも地図は無く人に訪ね歩くしかない状況だった。
これは願ってもいないチャンス……!!

砂漠の国へはあと少し。ちらりと時計を見ると針は12時30分を指していた。

「ポプラ………」

そう呟くと

「当然!!行くわよ!!!!」

勇ましい返事と共に猛スピードでラクダを走らせる。ここからだとギリギリ間に合うかどうか……だが、諦めるわけには行かない!!
兎に角、急ぎ会場へ向かった。
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