神様の涙
「さぁさぁ、よってらっしゃい、みてらっしゃい♪

 強者共が競い合う、砂漠の国の大名物!!
 力自慢大会がはじまるよー!!」


若く威勢のいい男性がマイク片手に案内する。

「あの!!!!はぁっはぁ……!!
 参加、…っ、します!!
 はぁっはぁ…!!
 まだ間に合いますか!!?」

砂漠の国へ辿り着くやいなや人混みをかき分けやっとの思いで到着。息を切らしながらアナウンスをしていた男性(以下、兄ちゃん)に話しかける俺。

兄ちゃんはちらりと時計に目をやり

「あー…残念♪1分過ぎちゃってるから
 エントリー出来ません!時間厳守だからね〜。
 ま、来年もやるからまたそん時参加してよ♪
 今日は観客席へどーぞ♪」

まさかのエントリー拒否………
いや、間に合わなかったのは確かだ…

「ちょ、そこをなんとか!!
 たった1分じゃないですか!!
 お願いします!!」

何とかならないか頼み込む…が、

「だめだめー!さ、始まるから…」

と、突き返されそうになったその時!!

「あのっ…はぁっはぁ…!
 本当に…っ、どうしてもダメですか?はぁはぁ…
 私達、さっきまで国の外に居て…っ!
 大会があるって聞いて走って…はぁっはぁ…!!
 戻ってきたんです…!」

息を切らし(…ているフリをしている)ぶりっ子全開のポプラが俺を押しのけ先程のアナウンスをしていた兄ちゃんに上目遣いで詰め寄る。

“あぁ…もぅ、走ったから暑い…”そう独り言を俯いて呟き兄ちゃんの目線の真下で胸元の生地をパタパタとさせる。
……あざとい。いつ見てもあざとい。
恐怖すら感じる。…が、意外と騙される。
うん、外見は確かに良いんだよな…
声も無駄に可愛いし…

「…っ、あー……まぁ、過ぎたって言っても
 1分だし?ほら、アレだ!!
 俺が時計見間違ってた事にするわ!!
 はははっ…♡」

案の定、エントリーは即OK…笑
そして、ポプラの顔から胸元をチラチラ見ながら耳まで赤くし照れ笑い。

「…で、あのー…この大会終わったら…さ、ははっ♡
 良かったら…食事でもどうかな…?…
 上手い所知ってるし…?♪」

この兄ちゃん、俺には時間厳守と言っておきながら自分にはナンパする時間があるようですw
まぁ…エントリー出来ればそれでいいけどさ。

「うふふ、考えときます♡」

そう可愛らしく答え、手を振り選手控室へ俺と向かうポプラ。こいつの本性知ったらあの兄ちゃん気絶しそうだな…
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